第20回公開講演会 「非戦と仏教」
第20回 公開講演会

テーマ  『非戦と仏教』

と き  2006年2月8日(水) 13:00〜17:00

ところ  本願寺備後会館 福山市東町2丁目4番5号(084-924-5759

内容  1.講 演  菱木政晴さん
       *1950年生まれ。現在、同朋大学文学部特認教授。
        *著書 『非戦と仏教』(白澤社).『浄土真宗の戦争責任』
  (岩波ブ ックレット).
  1.報 告  自民党憲法草案の問題点

 
協力券  1000円(高校生以下無料)
 
共 催 備後靖国問題を考える念仏者の会・念仏者九条の会
 
 (連絡先 0824-63-8042)

  
 今年はアジア・太平洋戦争の敗戦から六十年。今、憲法は古くなった、憲法が時代に合わな
くなったとの喧伝のもと、二00七年には日本国憲法を改悪しようという動きが現実になろうとし
ています。今、憲法を巡ってはその「改正」の論点や理由が様々に報じられていますが、本当
のねらいは、「戦力の不保持」と「武力行使を否定」した第九条を変えることにあると言って間
違いありません。
 もし、現憲法の第9条が改悪され、日本が「軍隊」を持つ国となったなら、日本はどのような国
に変わっていくでしょうか。アメリカと同じように、常に戦争する「普通の国」になるに違いありま
せん。
 人間の歴史は、限りない多くの人間が殺し殺されてきた、「戦争の歴史」であるとも言えます。
その痛恨の歴史の中から生み出された日本国憲法第九条こそが、21世紀に世界の人間が共
生していく“道しるべ”であると信じます。
 また私たちの本願寺教団は、かつて親鸞聖人の教えにないことを「教え」とし、戦争を賛美
し、推進した歴史をもっています。その過ちを再び繰り返さないためにも、私たちは平和実現
のための活動におおきな責任を負っていると思います。
今「平和」の根幹が壊されようとしている今この時、私たち一人ひとりが声を上げていくことが
大切なではないかと、そのために共に学べる場を持ちたいと思い、公開講演会を開催させて
いただきます。

 
  宗教が、暴力や戦争、あるいは、差別などの社会的な不正・不公平に対して、とりう
 る態度は、
  つぎの三通りだろう。
  @戦争に反村する
  A戦争を賛美し、殺し合いを強いられることを納得させる
  B戦争とは無縁に、心の平安のみを求め、また、それを与えようとする
  多くの人が宗教というものに抱くイメージは、Bだろうとは思うのだが、実際には、 多くの宗教が、結果的にというだけでなく、かなり意図的にも「戦争を賛美し、殺し合 いを強いられることを納得させる」ものとして機能してきた。そのことについては、私 は、これまで著作や論文で何度も指摘してきた。すなわち、戦没者の追悼に名を借りて、 戦没者を褒め称え、それに宗教的な感謝をささげ、それら戦没者を見習って殺し殺され ることを納得させる宗教として機能した、国家神道や国家神道化した日本の仏教につい て批判的に研究してきた。
  そのうえで、宗教を@の方向に戻さなければならない、つまり、抑圧や暴力や支配を 正当化するのではなく、それからの解放と平和を目指す宗教への方向をとらねばならな いと語ってきたつもりである。すなわち、支配イデオロギーとしての宗教から解放の宗 教へということである。
  それは、宗教の仕事ではない。それは、政治や、あるいは、経済の仕事だという人も あるかもしれない。宗教は、そういうことより、そういうこととは無縁に「心の平安のみを求め、また、それを与えようとする」だけで十分ではないかと。
 
 あるいは、そうなのかもしれない。
  しかし、私が、国家神道や国家神道化した日本の仏教について批判的に研究してきた結果、たどり着いた結論の一つは、宗教が戦争や差別を肯定し、人びとにそれを納得させるのは、戦争や差別とは無縁に心の平安をもたらすというそのことによってであることが多いということである。                          
  宗教は、心の平安、いかなる状況にも耐えうる平安をもたらすのであるが、そのことによって、安心して死ぬ心境、安心して殺す心境を与えるともいえるのである。殺し合いを強いられる状況において、そのような心境はそれこそ「わらにもすがる」ものとなる。そして恐ろしいことに、そのような心境の証しとして、殺し合いに平然と従事することを目標にする逆転さえ生じることがある。
  戦前の日本においては、そのことに教育が果たした役割が大きかったことは、比較的よく知られている。そして、すでに、教育基本法の改悪をおおっぴらに語りだした政治家の中には、教育の究極の目的は国のために死ぬことをいとわない人間を作ることだと明言する者まで現れている。
         
                      (『非戦と仏教』菱木政晴 はじめに)
  
備後・靖国問題を考える念仏者の会HP:http://www.saizenji.com/page002.html
  念仏者九条の会HP:http://www18.ocn.ne.jp/~hongan9/
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