目次
前文
第1章 教義
第2章 本尊
第3章 聖教
第4章 宗風
第5章 補則
附則
本宗門は、親鸞聖人を宗祖と仰ぎ、その教え
を信奉し、伝道する教団である。宗祖親鸞聖人
は、『顕浄土真実教行証文類』を著し、浄土三部
経のうち、特に『仏説無量寿経』を真実教と定
め、そこに開示されている阿弥陀如来の本願の
教えを浄土真宗と名付け、本願力回向を基軸と
する二回向四法の教義体系を確立された。これ
が浄土真宗
の立教開宗である。それは、龍樹菩薩、天親菩
薩、曇鸞大師、道綽禅師、善導大師、源信和
尚、源空上人の七高僧の教えを継承し、展開さ
れた法義であって、信心正因・称名報恩の宗義
を本とするものである。
宗祖の滅後10年を経て、その息女覚信尼は
宗祖の門弟たちと共に、京都東山の大谷に仏
閣を建て、聖人の御遺骨と御影像を安置し、遺
弟たちの崇敬の中心とされた。その廟堂を本願
寺と名付け、宗門の中心寺院と定められたの
は、第3代宗主覚如であった。第8代宗主蓮如
は、本願寺を山科へ移転して中興された。その
後寺基を大坂の石山等へ移すことがあったが、
第11代宗主顕如のときに、京都堀川六条に寺
基を定められて現在に至っている。
第1章 教義
浄土真宗の教義の大綱は、『顕浄土真実教
行証文類』に顕わされた本願力による往相・還
相の二種の回向と、往相の因果である教・行・
信・証の四法である。
真実の教とは、『仏説無量寿経』であり、真実
の行とは阿弥陀如来より衆生にめぐまれた本願
の名号南無阿弥陀仏である。真実の信とは、本
願の名号を疑いなく信受することをいう。如来回
向の名号をいただいた信心は、仏の大智大悲
の心であるからよく往生成仏の正因となる。信
心を獲た時に往生は定まり正定衆に住する。信
心は称名となって生涯相続するものであり、この
称名は仏恩報謝の営みである。これを信心正
因・称名報恩といい、浄土真宗の宗旨とする。
真実の証とは真実報土に往生し、慈悲と智慧の
円満した無上仏果を得ることをいう。
この真実の四法は、阿弥陀如来より衆生に
めぐまれた往生成仏の大道であり、これを往相
回向という。浄土に往生して仏果を得れば、お
のずから大悲を発し、生死の迷界に還り来たっ
て自在に衆生を済度する。その大悲のはたらき
がめぐまれることを還相回向という。往相も還相
も如来大悲の本願力回向の利益であり、すべて
の衆生が救われていく誓願一仏乗の大道であ
る。
第2章 本尊
本宗門の本尊は、阿弥陀如来(南無阿弥陀
仏)である。
本宗門は、教法弘通の恩徳を報謝するため、
宗祖、七高僧、聖徳太子及び歴代宗主の影像
を安置する。
第3章 聖教
本宗門の正依の聖教は、次のとおりとする。
一 浄土三部経
仏説無量寿経 康僧鎧訳
仏説観無量寿経 ■良耶舎訳(■=「僵」の
人偏を除く)
仏説阿弥陀経 鳩摩羅什訳
二 七高僧の論釈
十住毘婆沙論 龍樹造 鳩摩羅什訳
浄土論 天親造 菩提流支訳
往生論註 曇鸞撰
讃阿弥陀仏偈 曇鸞撰
安楽集 道綽撰
観経疏 善導撰
法事讃 善導撰
観念法門 善導撰
往生礼讃 善導撰
般舟讃 善導撰
往生要集 源信撰
選択本願念仏集 源空撰
三 宗祖の撰述
顕浄土真実教行証文類
浄土文類聚鈔
愚禿鈔
入出二門偈
浄土和讃
高僧和讃
正像末和讃
三経往生文類
尊号真像銘文
一念多念文意
唯信鈔文意
如来二種回向文
弥陀如来名号徳
御消息、その他の撰述及び文書
上記のほか、宗祖の教えを伝承し発揮された
覚如宗主の撰述、及び蓮如宗主の『御文章』
等、並びに宗祖や蓮如宗主が信心の鑑として敬
重された典籍は聖教に準ずる。
第4章 宗風
本宗門は、本願寺を本山とし、宗祖親鸞聖人
を初代、その孫の如信を第2代、宗祖の曾孫覚
如を第3代とし、爾来宗祖の子孫を門主(宗主)
として次第相承されてきた。
本宗門は、宗祖の教えに従って、阿弥陀如来
の本願を信じて念仏の大道を歩み、現世祈祷を
行わず、自身の煩悩を漸塊しつつ、自他共に怨
親平等の浄土への往生を期する同信同行の集
いである。
本宗門の僧侶、寺族及び門徒は、真の念仏
者として非僧非俗を標傍し生きられた宗祖の行
跡を慕い、常に報恩謝徳の懇念に基づいて、同
一に念仏し、聞法と伝道に努める同行であり、
同朋である。
本宗門は、万人に向かって平等に開かれてお
り、本宗門に属する人々は、宗祖の導きを仰
ぎ、国家や民族や思想・信条の違いを超えて、
生きとし生けるすべてのものに慈しみの心をもっ
て接することのできる社会の実現を目指すもの
とする。
第5章 補則
本宗制の変更は、あらかじめ勧学寮の同意を
経て、宗会議員の4分の3以上が出席した宗会
において、出席議員の4分の3以上の多数で議
決しなければならない。
本宗制の変更は、宗門全般に公示し、その公
示の日から2か月以内に宗門投票を行う決定が
された場合を除き、総長は、直ちに発布の手続
をしなければならない。
附則
1 本宗制は、平成 年 月 日から施行す
る。
2 浄土真宗本願寺派宗制(昭和21年9月11日
発布。昭和22年4月1日施行)は、廃止する。
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目次
第1章 教義
第2章 本尊
第3章 聖教
第4章 宗風
附則
宗祖見真大師親鸞聖人は、顕浄土真実
数行証文類を著し、竜樹、天親、曇鸞、道
綽、善導、源信、源空の七高僧の釈義を承
け、仏説無量寿経の本義を開顕して、真実
の宗旨は、信心正因、称名報恩であること
を明らかにされた。これが浄土真宗の立教
開宗である。
聖人の滅後、文永9年に聖人の季女覚信
は、孫如信と共に、諸方に散在する聖人の
遺弟と相図り、東山大谷にある聖人の墳墓
の側に仏閣を建て、聖人の影像を安置し
た。
これが本願寺の起源である。
爾来、本願寺は、諸国門徒の帰向の中
心となり、更に宗門の本山として崇敬される
に至った。
本宗門の伝灯は、如信を第2代とし、宗
祖聖人の血統によって次第相承されてい
る。
本願寺は、その後いろいろな事情のため
に、近畿、北陸の各地に移転したが、天正
19年に、豊臣秀吉が京都六条に寺地を寄
進したので、ここに寺基を定め現在に及ん
だのである。
第1章 教義
浄土真宗の教義の大綱は、顕浄土真実
教行証文類に顕示された教、行、信、証の
四法である。その教とは仏説無量寿経、行
とは南無阿弥陀仏、信とは信心、証とは滅
度であって、真実の教である仏説無量寿経
に説き示された南無阿弥陀仏の名号を聞く
信心によって、浄土に往生して滅度の仏果
を証することである。
信心は、願行を具足する名号を全領する
ので、往生の正因は、この信心一つで満足
する。その上は唯念仏を相続して、広大の
仏恩を念報するばかりである。これを信心
正因、称名報恩という。これが、四法の教
義の顕わす真実の宗旨である。
この四法は、衆生が浄土に往生する相
状であるから、これを往相という。浄土に往
生して仏果を成就すれば、おのずから大悲
を起し、生死の世界に還来して有縁を済度
する。これを還相という。この往相も還相
も、ともに仏力廻向の利益であり、これが他
力の救いである。
聞信の一念に名号を全領し、光明に摂取
され、現生には正定衆に住して、言行を慎
み、道徳を守り、当来には、仏果を証する。
これ、すべての人びとが、途を転じて悟を開
くことのできる一仏乗の大道である。
第2章 本尊
浄土真宗の本尊は、阿弥陀如来一仏で
ある。
教法弘通の恩徳を報謝するために、聖
徳太子、七高僧、宗祖及び歴代宗主の影
像を安置する。
第3章 聖教
浄土真宗の正依の聖教は、左の通りであ
る。
一 浄土三部経
仏説無量寿経 康僧鎧訳
仏説観無量寿経 ■良耶舎訳(■=「僵」
の人偏を除く)
仏説阿弥陀経 鳩摩羅什訳
二 七高僧の論釈
十住毘婆沙論 龍樹造 鳩摩羅什訳
浄土論 天親造 菩提■支
訳(■「亜」の下に
「田重ねたような字)
往生論註 曇鸞撰
讃阿弥陀仏偈 曇鸞撰
安楽集 道綽撰
観経疏 善導撰
法事讃 善導撰
観念法門 善導撰
往生礼讃 善導撰
般舟讃 善導撰
往生要集 源信撰
選択集 源空撰
三 宗祖の撰述
顕浄土真実教行証文類
浄土文類聚鈔
愚禿鈔
入出二門偈
浄土和讃
高僧和讃
正像末和讃
三経往生文類
尊号真像銘文
一念多念証文
唯信鈔文意
御消息その他の撰述及び文書
御文章その他歴代宗主の撰述及び
宗祖又は歴代宗主の敬重された聖教は、
宗祖の撰述
に準ずる。
第4章 宗風
本宗門は、一味の信心に住する人びとの
同朋教団である。この宗門を組織している
人びとは、僧侶と、門徒と、各々その務を異
にするけれども、ともにこれ法味愛楽の同
信であり、仏恩報謝の同行である。
寺院は、自行化他の道場である。それ
故、僧侶は、専らその機能の発揮と向上と
につとめ、門徒は、愈々その護持と発展と
をこころがけ、相携えて正法弘通に精進し
なければならない。
本宗門の人びとは、常に報恩謝徳の懇
念に基いて、人道を履践し、世法を遵守し、
世のため人のためにまことの生活を営まな
ければならない。
既に正法に遇い仏願を信ずる本宗門の
人びとは、深く因果の理を弁え、禁厭祈咒
等によって現世の福利を求めてはならな
い。
附則
本宗制は、昭和22年4月1日から、これを
施行する。
本宗制の改正に関する事柄は、宗法に
規定する
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