全日本仏教会は、機関誌『全仏』No.496(2004年3月1日)



いのち大切にする心を育てる宗教教育実現のために教育基本法第九条改正を求める

全日本仏教会の基本姿勢

  一月二十八日の評議員会・理事会において「適切なる宗教教育実現のための教育基本法
第九条改正推進特別委員会」杉谷義純委員長より現況報告がなされ、左記の趣旨で更に推
進することが確認された。

 * * *

  お釈迦さまの説かれた仏教は、生きとし生けるものすべてのいのちを大切にする生命尊重
の教えです。すべてのいのちはそれぞれに関係しあい共に支えあい救いあう。この縁起・共生
の教えが今ほど必要とされている時はないのではないでしょうか。現在世界の各地で自然や
多くの人々のいのちが、傷つけられ殺しあっている悲惨な状況が見られます。世界の平和を実
現するためには、一人一人の心に慈悲と和合ととらわれに対する反省の心を確立する必要が
あります。本来の宗教とはそのために欠くことのできないかけがえのない教えです。まさに仏教
とは、殺生(せっしょう)を否定し、平和の礎(いしずえ)となる教えです。

  この教えを生かし、生きとし生けるものすべてのいのちを大切にする社会の実現を図る一助
として、宗教教育は重要な役割をもつものではないでしょうか。そのために現在、私たち宗教
者の側からもより一層の努力が必要であると認識しています。

  教育基本法第九条には、宗教教育が規定されています。しかし現在の第九条の条文では、
宗教教育そのものを否定する趣旨に理解されることが少なくありません。

  真の宗教は、あらゆる生命を尊重し、平等・共生を唱え、人々を幸せにし、世界平和をもた
らす、人間にとって最も不可欠の営みであります。

  (財)全日本仏教会は、この宗教の持つ尊い価値を、公教育の現場において、未来を担う子
供達へ伝えていくことができるよう、教育基本法第九条の適切な改正への働きかけを各方面
に行うものであります。

  勿論、戦争を容認したり、戦前に回帰するような理念や条文の導入に反対であることは、い
うまでもありません。第九条を改正して真の宗教教育を行うことにより、いのちを大切にし二度
と再び戦争という過ちを犯すことのない子供達が育てられていくと信じます。そのために第九条
宗教教育に限定し、改正を要請するものであります。

  また法律改正実現後に必要となる教材・指導要領に関しては、実情に即し情報収集等を行
い、適切な発言をしていく用意があります



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