03.7月26日 意見具申書

関係各位様
                                      
                        平成15年7月26日
      〒101-062 東京都千代田印田駒台3−5一丁帽井ピル4階
         岡田法律事務所電話03・3233I081 fax03.3233.1083
              全日本仏教会・信教の自由委員会・会員
               真言宗豊山流・泉福寺住職
               弁護士 岡 田 弘 陸


前略 豊山派の岡田弘隆です。
今回は、全仏に対しての「「宗教教育触特別委員会」を白紙に戻すことを強く提唱いたします」
と題する、私の作成した意見具申書をお届します.

 もっと早く出したいと思いながら、今日までになってしまいました、ぎりぎりですが全仏のこの
間題での集会が開かれるのに間に合うようにと、出させていただいたものです。
 内容もまだ不十分なものですが、ともかくも白紙に戻すように、根本の教育基本法改正の是
非から議論すべしと、警鐘を鳴らすつもりで、出したものです.
 不十分な内容はおいおい足し増していきたいと考えていますので、皆さまのご叱正とご
教導をお願いいたします。

 今回も、全仏理元事長・真宗本願寺派宗会議長の石上智康師が旗振り役をしています。
「新しい国立追悼施設」の時と同一の路線をひた走る、立派な方でいらっしゃいます。
ご本人は確信犯ですから、無駄でしょうが、委員会のメンバーはそうではありませんから、批判
を集中すれば効果はあるものと考えます.
 どうかその意味で、この間題につき、批判を集中させていただきたいと願うものです。
それでは、お互いに精進しましょう。
ご自愛をお祈り申し上げます。



意 見 具 申 書
全日本仏教会 御中
3437.3260
                                                        
                               
                            平成15年7月26日
         〒101−0062 東京都千代田区神田駿河台3−5−15荒井ピル4階
              岡田法律事務所 電話03.3233,1081fax O3.3233.1083
                 全日本仏教会・信教の自由に関する委員会・委員
                   真言宗豊山派・泉福専住職
                      弁 護 士  岡  田  弘  隆

「宗教教育推進特別垂員会」を白紙に戻すことを強<提唱いたします

 前略、「教育基本法改正」問題について、私たちの(周囲と議論した上で)見解を以下
のとおり申し上げます。

1、全仏の宗教教育特別委員会設置は、大問題です
 全日本仏教会は、平成15年2月17日に常務理事会を緊急招集して、「適切なる宗教教育実
現のための教育基本法第9条改正推進特別要員会」(略称・宗教教育推進特別委員会〉を組
繊したという.
 全仏の説明によると、全仏がかねて要請してきた「宗教に関する知識教育の重視」を
教育基本法改正に盛り込むように求めていくためであるという。
 しかし、今回の全仏の決定は、これまでの「首相の靖国神社参拝反対」等の全仏の方針と大
きな矛盾を孕むものであり、大問題と言わなければなりません.
 全仏の決定は、何よりも「教育基本法の改正(改悪)を当然の前提」としている点で、
「全仏が教育基本法改悪の旗振役を買って出る」ものであり、断じて許されるものでは
ありません。
 「有事法」に続く「イラクヘの自衛僻派遣特別法」にみられる今日の、戦争のできる
国家をめざす政権与党の大方針の政治情勢のもとで、全仏は一体どこへ日本の仏教徒を
導こうとしているのでしょうか。

2、教育基本法の改正の是非から論ずペきである
 今回の全仏の「宗教教育推進特別委員会」設置による教育基本法改悪推進資勢は、ま
ことに不思議な設置経過をたどっています.
 何故ならば、2月17日の緊急の常務理事会によって設置されたということですが、そこでは
「今この時期に、教育基本法は改正すペきなのか、それとも改正は必要ないの
か」という大前提の議論が全くなされていないからです。
 教育基本法の改正問題は、戦後58年を迎えている今日まで、何度か繰り返してきたものでし
た。しかし、具体的な政治課題となったのは、遠山文科省現大臣が就任した今回が初めてで
す.
 今日の教育基本法改正の基本的な方向には、二つ大きな方向が主張されています.
 第一の方向が、いわゆる新自由主義と言われるもので、世界的なグローパリゼーションの大
競争時代に生き残りをはかるには、教育に能力主義を大々的に取り入れるべきだとるもので
す。少数の能力のある者に資金を注入して特別なエリート教育をし、その他の多数は柔順な
働き手としての教育をできるように、教育基本法を改正しようとするものですこの方向は、一部
に既に学区制の廃止と少数のエリート校の養成や飛び級その他の制度として、先取りが進め
られていますが、こうした方向をもっと大々的に全国に及ぽそうとするものです.
 第二の方向は、「戦争のできる国東・国民」を目指す教育を可能としようとするもので、日本
人としてのアイデンティティーや愛国心と公共への奉仕精神を植え付けられるように教育基本
法を改正しようとするものです。これも既に国旗と国歌の教育現場での強制と修身教科香とも
言われる「心のノート」の配布、奉仕活動の義務化などによって、現場での既成事美化が進め
られていることですが、この方向をはっきりと明確に全国的に進めようとするものなのです。
 しかしこの二つの方向は、仏教徒の基本的な教え、もちろん全仏のとる教えでもありますが、
それと全く反対の方向を向いていることを、ここで強調しておくべきでありましょう。
 第一の方向は、総ての人間に仏性の存在を説き、総ての人間の平等な救済を説く仏教徒の
基本精神に反する、人間の差別と選別を進めるもの、人権尊重の現行教育基本法の理念とも
全く反するものなのです。
 また第二の方向は、戦前と同質の偏狭な愛国心を説くもので、仏教徒としての国際性と、世
界とアジアの人々の国境を越えた交流と共生の教えに反するものとなっているのです。もちろ
ん現行教育基本法や現行憲法の理念とも明確に反するものとなっています.

3、委員会は、白紙に戻すペきです
 したがって、全仏が冷静に「今日の時点で、教育基本法の改正は是か非か」を議論するとこ
ろから出発していれば、また戦前の戦争協力をした仏教徒としての反省に基本的に立脚して
いるかぎり、「全仏が教育基本法改悪の旗振役を買って出る」ものにはならなかったはずだか
らです。
 こうして、今日何が最も望ましいかと言えぱ、全仏が「教育基本法の改正〈改悪)を当然の前
提」とするのではなく、「今日の時点で、教育基本法の改正は是か非か」から議論をし直すこと
として、既に全仏が設置した前記の「宗教教育推進特別委員会」を白紙に戻すペきなのです。
 そこで私は、改めて前記の「宗教教育推進特別委員会」を白紙に戻すべきことを堤唱いたし
ます。
 心ない少数の全仏加盟組織の悪しきリーダーのために、今日の日本の全仏教徒が大きな過
ちを犯してはなりません。
 今回も先の「戦没者のための新たな国立追悼施設設置」に外部の方々と旗振りした方が、リ
ーダー役を果たしているようです.国立追悼施設設置運動は全仏の外につくられたようです
が、今回は全仏の内部につくった組繊ですから、今ならまだ全仏として白紙に戻すことができ
ますので、どうか基本に立ち返った議論をして、白紙に戻すことにためらってはなりません.
 宗教教育推進特別委員会を白紙に戻すことを、強く強く提唱いたします。
  合掌



意見具申書の扱いについて
全日本仏教会 御中
3437.3260
                              平成15年7月28日
           〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3−5−15荒井ピル4階
               岡田法律事務所 電話03,3233.1081fax03.3233.1083
        全日本仏教会・信教の自由に詞する委員会・委員
               真言宗豊山派・泉福寺住職
               弁 護 士  岡  田  弘 隆

           理事会においてご配布願います

前略、先に7月26日付けで、「「宗教教育推進特別要員会Jを白紙に戻すことを強く提唱いたし
ます」との文書を、郵送とファックスでお届いたしました。
 ご案内によれば、7月29日午後、京都で第2回理事会が開催されるようですが、その理事会
の傍聴はできませんので、拙子の「意見具申書」を(本書草書め)理事会において
ご配布願いたく、お願い申し上げます。
 
 この問題について、広い意味で全仏内部に違った意見があることを、理事会において知って
いただけることを願い、また先の特別委員会設置決定を白紙に戻されること願いとするもので
す。
 
 近時の情勢については、日本が新たな戦前・戦中に進みつつあるとの認識です。
 戦争のできる国家としての改造が進む日本社会の中で、全仏は釈尊の非暴力の教えを掲げ
る全国仏教徒の組織ではなくて、かつての戦前戦中のような「戦争国策を仏教徒と仏教界に
広める組織」になり果ててしまうのでしょうか。
 黙って黙々とそれに流され、又はその為に進んで旗振り役を引き受けて良いのでしょうか。
理事会の皆様に、真摯に心から訴えます。
 全仏は、その瀬戸際に立っていると言うのが、現在ではないのかと考えます。
 真剣な議論を希望いたします。

 関係各位の一層のご発展とご自愛をお祈り申しあげます。         合掌




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